野生動物学教室

ABOUT教室について

私達は、野生動物医学の
プロフェッショナルを目指します

生物多様性の保全を最終目標として、野生動物の保全と管理に貢献するための野生動物医学/保全医学教育研究を実践します。主に、クマやシカといった大型哺乳類を対象にして、その生理・生態を明らかにするとともに、保全や管理への応用を心がけています。また、野生動物が介在する感染症の実態を明らかにするとともに、人、家畜および野生動物の間で起こる感染ルートや感染様式を解明します。さらに、アライグマをはじめとする外来生物が引き起こしている問題、特に在来生物や人への影響について研究すると共に、問題解決に向けた対策についても研究を行っています。

例えば、クマ類における繁殖と栄養の関係ならびに冬眠中の生理・代謝機構、道東ヒグマ個体群の生態、行動および遺伝子構造、北海道の野生動物にみられるマダニ媒介性感染症の感染様式、ネパールでの感染症制御と生物多様性保全、アライグマの繁殖、感染症および遺伝子構造などを研究テーマに掲げています。

とくに、クマ類の生理・生態についての研究が、現在の教室の研究の柱になっています。クマは冬眠中低代謝と絶食という厳しい条件下で妊娠、出産および哺育を行う、極めてユニークな生理機構を獲得した動物です。さらに、食肉目に属する動物でありながら食物のほとんどを植物に依存し、季節や年毎に変動する食物資源を効率よく利用している、とても興味深い生態を有しています。

これらの研究成果を野生動物医学/保全医学の教育に還元し、少しでも野生動物に関する知識を持った学生が卒業してくれることを願っています。また、大学院生にはより専門性を高めるための教育を施し、将来の野生動物専門家を育成しています。さらに、一般市民から研究者までを対象に幅広いアウトリーチ活動を実践しています。

教室の沿革

平成7年4月1日 研究科17番目の教室として創設される(生態学教室)
爾来、9年間にわたって大泰司紀之教授が教室を主宰(平成16年3月まで)
平成19年4月1日 坪田敏男が第2代教授として教室を主宰
平成20年4月1日 下鶴倫人が助教として着任
平成22年4月1日 教室名を「生態学教室」から「野生動物学教室」に変更
平成25年4月1日 下鶴倫人が准教授に昇進
平成25年7月16日 佐鹿万里子が特任助教として着任

教室の方向性

究極的には生物多様性の保全を目標として、野生動物の保護(Conservation)と管理(Management)に貢献するための教育研究拠点を目指す。当面、クマ、シカ、海獣類といった大型哺乳類の生理・生態に関する保全生物学ならびに野生動物医学研究を柱とする。さらに、これらの教育研究を通じて野生動物専門家を養成することも重要な課題である。

教室の特徴

  1. 野生動物を対象とする。→感動的な場面にでくわすかも
  2. フィールドワークとラボワークの両立。→忍耐と体力の養成に役立つかも
  3. 外部機関との共同研究が多い。→世渡り術が学べるかも
  4. チームによる研究が多い。→かけがえのない友人ができるかも

研究テーマ(教員、研究員、大学院生)

  1. ネパールおよび日本における野生動物での結核症感染について
  2. 北海道における生物多様性と感染症伝播との関係?ライム病、アナプラズマ、レプトスピラなど?
  3. 知床半島におけるエゾヒグマの土地利用様式と個体間関係に関する研究
  4. ニホンツキノワグマにおける冬眠中の代謝と生理に関する研究
  5. ニホンツキノワグマにおける冬眠前の脂肪蓄積に関する代謝メカニズムの解明
  6. 北海道沿岸のトド・ゼニガタアザラシの生態と漁業被害問題について
  7. ヒグマ・ツキノワグマにおける繁殖指標と栄養状態指標に関する研究
  8. 標津における携帯電話テレメトリィを使ったヒグマの行動追跡と遺伝子解析
  9. 特定外来種アライグマの繁殖、遺伝子および感染症に関する研究 他

外部機関との共同研究

担当科目(専門)

  1. 野生動物学(3年次2学期・2単位・必修)
  2. 野生動物学演習(4年次1学期・1単位・選択) 他

野生動物の「保全」と「管理」に貢献する

野生動物学教室