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名古屋大学相撲部誌への寄稿文

土俵は、土を詰めた俵16個を敷き詰めて直径4.55メートルの円形を作り、さらに東西南北4カ所に俵4個で徳俵を作ったものだという。相撲力士が相手に押し込まれた時、最後に頼りにするのがこの俵である。足を俵にかけての必殺逆転のうっちゃりは、まさに相撲の醍醐味であり、激しい興奮を憶える瞬間である。この土俵の上で力と力をぶつけ合うガチンコ勝負の相撲が、万人を惹きつけて止まないのは至極当然なことである。また、大相撲はもちろんのこと、学生相撲でも、他のスポーツと違って何か神聖な気持ちを抱かせてくれるスポーツでもある。相撲の歴史と伝統が醸し出す得体のしれないものが土俵に沁み込んでいるのだろう。学生たちも、格闘技的な要素を秘めた勝負の世界でありながら、このような格調高い部分にも魅かれているのだと思う。そんな学生たちが、土俵上でまわしをつけて、傷だらけになりながら懸命に戦う姿には心動かされるものがある。とくに学生相撲の場合、体格的には劣った者でも俊敏さや巧みさがあれば、勝機を得ることができるのにはいつも驚かされる。とはいえ、やはり個人戦で優勝できるのは、体格的にも恵まれ、かつ相撲道を突き詰めた者のようである。私個人的な印象としては、筋骨隆々型よりもしなやかな体躯を備えた者の方が相撲には合っているような気がする。年に1回七大戦を観戦するだけの素人の目ではあるが、こんなことを感じながら毎年の七大戦を観戦させていただいている。

 

現在、北大相撲部は練習場としての土俵を大学内に建設してもらうことを要望している。相撲部としては最も大事なものが欠落しているわけであるから、その要望は当然なことであるが、その建設実現の道は誠に険しい。大学としては建設用地の提供はできると言ってくれているが、資金的な援助は皆無といってよい。我々の最大の問題は資金集めであるのはいうまでもない。現在、学内外の関係者にご協力いただいて実行委員会が組織され、その元で

学生たちが懸命に資金集めをしているところである。この紙面を借りて、募金のお願いをさせていただきたいと思う(連絡先は北大相撲部)。

 

さて、私がこのような文章を書くにいたった経緯を簡単に紹介させていただく。まさか相撲部の顧問になるとは夢にも思っていなかったのに、こうやって既に8年も北大相撲部の顧問をやっている。残念ながら、本業の獣医学教育や野生動物の調査研究、大学運営や社会活動など、日常業務に追われる生活の中で、相撲部に関わる時間を作り出すのはかなり難しい状態であるが、それでも年に1、2回相撲部の試合を見に出かけている。そんなことしかできない状態なので、学生からしたら何もしてくれない顧問として不満だろうが、今さら私がしゃしゃり出ることもないかなと静観している。

北大相撲部との出会いは、大学学生時代の縁にまでさかのぼる。私は今から40年も前に北大の門をくぐったのであるが、入学後まもなく友人に誘われて北大ヒグマ研究グループという変わった学生団体に所属するようになった。ヒグマが冬眠する冬を除き年中、北海道の山を歩き回って、ヒグマの足跡を追っかけていた。9年間もやっているとそれなりに専門知識も付き、さらに本腰入れて研究をしてみたくなった帰結として今の自分がある。これらの経験を通して、当然のように人脈は広がり、様々な人たちとの交流へと発展していった。そのお一人が、クマ研の先輩でもあり名古屋大学と縁のある近藤誠司さん(北大農学部名誉教授)で、細谷先生の盟友(ただの飲み友達?)でもある。北大相撲部の顧問不在だった時に近藤さんに誰か顧問になってくれそうな現役教員はいないかと相談があった。その話が、クマ研の後輩でかつ現役北大教員であった私に向けられたのは当然の流れだったといえる。

 というようないきさつで北大相撲部の顧問を引き受けることになった。学生時代からの流れとしてクマ研の顧問も引き受けているので、現在は2つのサークル(クマ研は未公認団体ながら大学に登録)の顧問として学生たちの世話役をしている。相撲部の顧問になりたての頃は、私も何かしないといけないという責任感から、たまに学生の練習にも付き合って四股を踏んでいた時もあったが、いつしかそんな時間も取れなくなって今は試合観戦のみに終始している。

 

 名古屋大学といえば、相撲部としては大きな壁というか、伝統ある名大相撲部のあとを追随させていただいている感が強い。名大に追いつけ、追い越せというのが北大相撲部のモチベーションだったように思う。いつも北大相撲部に声をかけていただいて合宿にも参加させていただいている。すべて細谷先生のおかげであるが、学生さんたちも暖かく北大の学生を受け入れてくれている。お互い切磋琢磨して共に上を目指して練習に励んでいる。その成果が出たのが3年前(2016年度)の七大戦だった。東北大も含めて3大学が3勝で1位となり、3大学による巴戦による決勝戦が行われ、結果北大が初めての優勝を飾ったのだった。これもひとえに名古屋大学相撲部のみなさんの暖かい支援の賜と認識している。

 北大相撲部の歴史は未だ浅いものであるが、着実に成果を積み上げている。今年度(2018年度)は新入生がたくさん入り、部員(マネージャーも含めて)もそれなりに整ってきた。これからも名古屋大学相撲部との競い合いを通して、北大相撲部も強くなることを願っている。体の小さい者も大きい者も精一杯相撲道に励んで、また土俵での熱戦を見せてほしい。

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