8回目のネパール
1月4日(月)2016年仕事始めだというのにけっこう忙しい1日を終え、セミナー終了後に慌ただしく出発。時間がないのでタクシーで札幌駅まで行き、そこで待っていたあゆみ(かみさん)からスーツケースを受け取り、札幌駅へ。札幌-羽田便と羽田-バンコク便は、真ん中の席しか取れないらしい、残念。
1月5日(火)羽田、バンコクと乗り継いで、昼過ぎにはカトマンズ空港に着く。入国審査の手続きは少し改善され、それほど待たされることなく外に出られた。ラビンが待っていてくれた。すぐにタクシーでクラリオンホテルへ。いつものお兄さんがチェックインの手続きをしてくれて3階の部屋へ。少し休憩して、すぐにNTNCへ赴く。NTNCNo.1(Mr. Govinda Gajurel: Member Secretary)、No.2(Mr. Gangajung Thapa: Executive Officer)人物に会いラビンの研究について理解と協力をいただくよう挨拶する。大きな問題もなく歓迎ムードである。最後にDr.Naresh Subedi: Senior Officerに会って、今後の研究の進め方について打ち合わせをする。早くGPSテレメを始めたいということで意見が一致した。今年からユキヒョウのGPSテレメを始めるということであった。まずは科研が採択されることを願うのみ。大きなプロジェクトに発展させたいと強く思う。次に、街中に出てDr. Dhakalと会う。出世街道を歩いているようで、近いうちにプロモーションの試験があるとのことであった。軽くモモ(ネパール風餃子)とケーキを食べたが、けっこうお腹はふくれた。これから夕食とラビンに誘われたが、あまり食欲はない。結局いつものレストランに戻ってきて、チキンチリでビールを飲む。チキンチリは辛過ぎて全部は食べられなかった。夜は早々にベッドに入り、ぐっすり眠った。けっこう寒い。
1月6日(水)
朝6時に起き、風呂に入ることにする。幸い熱いお湯が出たので、バスタブで体を温めることができた。最後は例によって水に近い温度まで下がったので、上がるころには寒さを感じた。朝食を軽く済ませ(あまり美味しくない)、9時にチェックアウトし、久しぶりにGENETUPでバグワンとチーフ(バハナ)に会った。ここでDNA抽出をさせていただくので、重要な場所である。これまでの鈴木先生の共同研究により助けられているところ大である。次に動物園でサリタに会い、研究やMOUの件(4月頃が一番いいとのこと)を打ち合わせた。一番言われたのは貴重な戦力となるネパール人を博士の学位取得後にネパールに戻してほしいという話であった。大事なことである。最後にNTNCに戻り、No.3(Mr. Deepak Kumar Sing: Administration Director)の人物に会い、ラビンの研究とJICAプロジェクトについて打ち合わせた。将来的に、何とかJICAプロジェクト(SATERAP)にまで持ち込みたいところである。
昼頃にはホテルに戻り、近くのレストラン(いつものところ)で昼食をとる。チキンフライドライスが美味い。ホテルでスーツケースを受け取り、チェックアウトを済ませて空港へ。国内線の外観はずいぶん立派になったけど、中のカウンタースペースは以前と同じであった。この時期ツアー客は少ないようで、以前のような混雑ぶりはなかった。14:10発のポカラ行のブッダ航空に乗り込んだ。フライトは25分とあっという間にポカラに着いた。ナイチンゲールホテルにチェックインし、しばらく休憩した。ホテルのオーナーはかつて日本人の客相手にゲストハウスを経営していたので日本語がとても流暢であった。17時半にラビンの奥さんもいっしょに夕食へ、街に繰り出した。ネパール料理をいくつか楽しんだ。ラビンは奥さんの前では酒が飲めないようである。3人で4700ルピー(約5,000円)は少し高かったけど、まあ仕方ないだろう。帰りにケーキも食べ、ホテルに戻る。
1月7日(木)
朝8時に朝食をとり、しばしの歓談。10時にアンナプルナ保護区Project Director: Mr.Lal Bahadur Gurungに会いに行く。ここでもラビンの研究について理解と協力をお願いする。前回会ったこともあり、まったく問題なく了解を得た。ルワング地区(アンナプルナ保護区内)に入るための許可書をいただき、オフィスを後にする。その足で大学に行き、林学の教員3人(Dr. Bir Bahadur Khanal Chhetri: Campus Chief、Mr. Narayan Gautam: Assistant Campus Chief、Ms. Nirjala Rauta: Department Head of Wildlife Biology, Institute of Forestry)とお会いしてラビンの研究への協力、とくに糞分析を大学で行わせていただくことを依頼した。問題はないということで、今後の共同研究についても話をした。Mr. Narayanはナマケグマの研究も行った経験があるのとMs. Nirjalaは野生動物関係の授業をもっているとのことであった。学生の30%ほどは自らの卒業研究(6か月間)に野生動物をテーマに選ぶらしい。やはりこちらでも野生動物の生態学は人気のテーマのようである。
昼にはホテルに戻り、近所のネパール人ご用達のレストランに行った。とくに看板が出ていることもなく普通の家であったが、多くの地元ネパール人が食べに来ていた。チキンネパリ―を食べたがとても美味しかった。カレーを一口食べると食欲が出てくるから不思議である。野菜やアチャールなど色とりどりなのもうれしい。満足してホテルに戻り、荷物をホテルに預けてルワングに向かう。タクシーでできるだけ行ってもらい、砂利道でスタックしたところで降りた。そこから歩くことおよそ1時間、今日の宿とする村に着いた。そこのコミュニティの萬屋(主に食料品)を経営する小学校の先生の家の離れ家に泊めていただく。ベッドがあるだけで他には何もなし。夜は鶏1羽を絞めてふるまっていただく。1羽1500ルピーほどと聞いた。ククリラム1本を3人で空け、そろそろ寝ようかと思った時にこれから夕食だという。ネパールではよくあるパターンで、忘れたころに夕食がふるまわれる。しかもネパリ―ディッシュが大盛りで出てくるのである。さらにおかわりはいかがと聞かれるのだからネパール人の食欲はすさまじいものである。ところで、今回話をしている中で彼らの給料について情報を得た。ラビン(NTNC所属)のかつての給料が5万ルピー、奥さん(公務員に就職)の給料が2万5千ルピー、ルワングの小学校の先生の給料が1万8千円だということであった(為替レートは0.86ルピーが1円)。これでは食っていくのはたいへんなことだろうと思う。ただし、贅沢をしなければ庶民が口にしたり、利用したりする値段は相当安い。ウシ、イヌ、ネコ、鶏、水牛などの動物といっしょに生活するネパールの田舎の雰囲気を味わいながら眠りにつく
1月8日(金)
朝7時に起き、すぐに朝食(パンと豆カレー)をとって8時には出発。今日は1日ツキノワグマの生息地を歩く予定である。昨日すでに周りの山を見ていたので、その急峻さは覚悟していた。途中でガイド役の地元の男の人(ふつうのおじさんに見えるが山の知識はすさまじい)と合流する。おじさんは草履履きである。私は腰痛が気になり、ゆっくりと歩くことにする。2時間ほど山を登るとツキノワグマの生息地らしいところに出た。常緑広葉樹のみが自生する森林で、樹冠が覆われているのでジャングルの様相である。しばらく歩くとガイドのおじさんがクマのトレイルがあるという。そこに行ってみると、確かにクマが歩いた跡のようで、数か所で果実を食べた痕(クマ棚)と爪痕があった。さらに進むと1つ糞が落ちていた。やはり果実を食べた糞のようである。カブトムシを探して引っ掻いた倒木もある。サンプル採取と記録をして、沢に下りたところで昼食。朝と同じブレッドにオムレツを挟んだものである。ガイドのおじさんはカエル探しに余念がない。なにしろ1匹捕まえたら1500ルピーで売れるらしい。カエルのスープが美味だという。結局カエルは捕まらず、おじさんは少し残念そうであった。そのまま下山し、2時にはおじさんの村に着いた。そこでおじさんと別れてわれわれは宿の村へ戻った。足と腰がけっこう疲れたので夕食まで休憩。とくにやることはないので、写真を眺めていた。暗くなると例によって焚火を起こしその回りでカレーチキンをつまみにウイスキーを飲む。夜にはやはりネパリ―ディッシュがふるまわれた。インドでアーミーをしているという兄さんら2人の若者もぐびぐびとウイスキーを飲んでいた。つまみは何とインスタントラーメン。しかも味付け用の粉末をふりかけている。山を歩いていて、チョコレート、スナック、飴玉などの空き袋に紛れてインスタントラーメンの袋が落ちていたのはこのせいだったのだと合点がいった。私は9時に就寝。
1月9日(土)
夜にはけっこう雨が降って何度が雨音で目覚めた。朝6時には起き出し、7時半に朝食(インスタントチャウメン:昨夜お兄さんたちがバリバリと食べていたものを茹でて野菜、卵と炒めたもの)を食べた。8時過ぎには別れの挨拶を済ませ(おみやげに扇子とブックマークをあげた)、バスが待つところまで歩いた。1時間ほど歩いて一汗かいてバスに乗り込む。途中おじさんたちが気持ちよさそうに温泉に入っていた。われわれを乗せたバスは、途中の村で人をひろってポカラに向かった。最終的には超満員のぎゅうぎゅう詰め状態でポカラに着いた。タクシーでナイチンゲールホテルに行き、荷物を置いてから例のネパリ―料理屋さんに行った。今日はヤギ肉カレーである。午後は、貯まったメールのチェックと返信で夕方までかかった。5時半にはProject Leaderといっしょに夕食へ。向こうがセッティングしてくれたレストランであったが、やはり支払いはこちらもちであった。先に彼らの給料を聞いていたので、仕方ないと思い8千ルピーを支払う。食事は美味しかった。最後は例によってネパリ―ディッシュでした。
1月10日(日)
7時にミルクティーだけご馳走になり、すぐにチェックアウトしてバスステーションへ。そこでラビンの奥さんと別れて、われわれは一路カトマンズへ。最後にヒマラヤの山々が白く輝く雄姿を見せてくれた。バスは7時間かかってカトマンズに着いた。ホテルクラリオンでチェックインを済ませて、私はタメル地区にお土産の買い物に出かけた。いい店に出会えて、ほぼ予定の品を手にすることができた。ホテルに戻り、いつものレストランで最後の夕食を済ませた。
1月11日(月)
朝飯を食べられるところはないかと近所を歩いてみたが、結局見つからなかった。仕方がないのでホテルの朝食(フレンチトースト、チキンオムレツとミルクティー)をとる。最後の風呂に入り(今日のお湯はとてもぬるい)、パッキングして出立。ラビンが迎えに来てくれた。タクシーで空港まで行き、カトマンズともしばしのお別れである。次来るのは4月頃MOUのセレモニーかなと思いつつ、私を乗せたバンコク行きTG320便は飛び立った。
今回の収穫(おまけ)
1.ツキノワグマの生息地を歩くことができたこと。糞を一つ発見。
2.NTNC、GENETUP、DWCNMならびにUVの方々と打合せができたこと。ラビンの研究を順調に進めることを確信。
3.MOU締結の段取りができたこと。4月頃がよさそう。
4.タメル地区にいい香辛料店とネパール山道具店(ディスカウントはなし)を見つけたこと。
5.ポカラで地元の人が行くネパリ―レストランを知ったこと。味は抜群。
いつかガンドリックからアンナプルナベースキャンプ(ABC)までトレッキングをしたいものだ。5日間で行って来られるらしい。
以上